カップインを狙ったパットで惜しくもカップから嫌われて、「お先に」とカップに入れるシーンは珍しくない光景です。

しかしながら、ほんの20~30センチのパットなのに、お先にと打ったパッティングをはずしてしまったという失敗例もかなりの方が経験しているようです。

この、「お先にパット」は、実は安易に考えるのは間違いです。たった30センチだからと、油断してかかると痛い目に合うわけです。

では、どうしてお先にパットをはずしてしまうのでしょうか。その理由を三半規管に起因するという人もいます。三半規管は平衡感覚を機能させるための身体の耳の中にある器官です。

ドライバーやアイアンのショットでも同じですが、パットの構えは前傾姿勢をとります。

最初のパットをはずした時点で、カップの近くにある静止したボールに近づく際にほとんどの場合上体をいったん起こすことになります。

そして、お先にパットを打とうとして、上体を再度前傾に倒します。整理すると前傾姿勢をつくってから、上体を起こして歩き、もう一度前傾姿勢をつくるという流れです。

この一連の動作にはほとんど間がなく行われるため、三半規管が正常に機能せずに、体の平衡感覚が保てない状態を引き起こしてしまうという説が成り立つわけです。

パッティング以外の似たような事例で説明してみましょう。パタークラブではなくて、右手に水を注いだコップを持っていると仮定しましょう。

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直立した状態から、上体を前傾させるとコップの水面は傾きます。そして、すぐさま上体を起こせば水面が当然揺れることになります。

水面が元の穏やかな状態に戻るまである程度時間がかかるのです。水面が揺れたまま、もう一度上体を前傾させれば、もっと大きく揺れてしまいます。

実は、コップの水の例を出したのは、三半規管の構造と無関係ではありません。三半規管の中には液体(リンパ液)が入っていてその傾き具合で身体の平衡感覚をつかんでいるからです。

更に問題なのは、カップを少しオーバーした次のパットを、体を逆向きにして打つようなケースです。

上りのフックラインをはずしたならば、次は下りのスライスラインとなるわけです。

この場合に足場は軽い左足上がりのツマ先上がりから左足下がりのツマ先下がりへと変化することになります。

そのため、最初のパットから、「お先にパット」を打つまでが短時間だと、コップの水でたとえれば、ゆれて水があふれ出した状態を引き起こしている状態のまま、次のストロークに移ることになります。

身体がめまいを起こしてしまって、パニック状態に近いので、いつも通りのストロークができなくなってしまうわけです。

ここに、「お先にパット」のコワイところがあるのです。なるべくならば、一旦ボールをマークして、体や精神を落ち着かせてから、打つようにした方が間違いが少ないのです。

「お先にパット」をすぐに打つのであれば、最初のパットを打ったときの前傾姿勢をなるべく保ったままの状態でゆっくりとボールに近づいて、手抜きをしないで自分の通常のアドレスをつくった後に打つようにする習慣をつけた方が良いでしょう。