パッティングでの目線の使い方について説明していきますが、何といってもストロークを安定させるためには目の使い方に気を配り、見ているエリアを一定にする必要があります。

ゴルフスイングの解説書の中ではよく「軸ブレをおこさない」と言った表現がされています。

一般的なゴルフスイングもパッティングでのストロークも回転運動ですから、軸という考え方を持たない方がおかしいことになります。

しかし、身体のどこか一か所を軸とみなして全く動かさないという考え方をすれば場合によっては間違いを犯すケースもあります。

何がいけないかと言えば、全身が連動するスムーズな動きを奪い去ってしまう危険性が出てくるためです。

回転軸は、固定して意図的に作り出す類のものではなく、一連の動きの中で結果的に形成されるものだと理解するのが正しいように思えます。

それでは、それを具体的にどうすれば、パットで安定したものを作り出せるのかという問題について説明を求められることになるでしょう。

そこで、俄然大きな意味をもってくるのは目線というものです。目の動きを一定に揃えて、目で見ているエリアを常に一定にすることで、動きの中に軸が自然に作りやすくなって、ストロークでは安定性が増します。

しかし、目の動きが安定していなかったり、極端に動きすぎると全身の動きも安定した状態を作れないことになってしまうことでしょう。

目の動きを揃える意味としては、ルーテンの部分と密接に関係してきます。

ボールとターゲット方向を示す目印であるスパットとの間で視線を往復させる動きがストロークのルーチンに含まれてきます。

そこに意識を集中することができさえすれば、自然と目が動きすぎる心配はなくなるでしょうし、ストロークは安定します。

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目に見えている範囲、つまり、景色の範囲だったり目線の角度を常に同じところにするということが重要なわけです。

これを実現するためには、目印であるスパットからボールに目を戻した後は、再び同じ範囲の景色が見えてくるように心がけるということです。

ボールだけに一点集中して見るという方法もないわけではないでしょうが、意識がボールにしか向かないことになるためターゲットに対する意識がどうしても薄まるというデメリットが生じます。

ボールは景色の中に一部として視界に入っているもののボール自体は完全には見ていない状態。つまり、ボールに意識は向かっていない状態こそが望ましいものになります。

上級者の大部分はパットのストロークではこのような感覚で構えているはずです。

漠然とした感覚でボールを含めた足元のある程度広いエリアを視界に入れて観察しているという感覚と言ってもよいでしょうか。

そうしたうえで気持ちの中ではターゲット地点をしっかりと見ているような感覚もあるはずです。

こうした目線の取り方を、インパクト直後まで行なっておくことにより、安定したストロークをつくることが可能になるでしょう。

腰痛などの怪我に苦しむことさえなければ、まだまだトップレベルにいたであろうT・ウッズのパッティングを観察すると参考になる部分はたくさんあります。

その中でも、パッティングではアドレスしてストロークを終えるまでの間にまばたきすらしていないように感じる点も一流の証拠なのかもしれません。

まばたきひとつすることで、身体の動きやフェースの向きにズレが生じてしまう危険性を排除しようと考えているのかもしれません。そのくらい、目線の使い方は重要なものなのです。